口に甘いは腹に毒


「玉露くんなら……食べられてもいいって。危険なんて関係なく一緒にいたいって……思っちゃったんです……」



 その違いが何を意味するのか。

 気付かない方が良かったのかもしれない。



「今玉露といないってことは、気持ちが噛み合わなかったということだな」

「……そうなります」

「どっちも選ばない、か……。参った、考えてなかったな」



 那由多先輩は、ばつが悪そうにしている。

 今までも……わたしのこういうところがダメだったんだろうな。



「で? 玉露にはその気持ち、ちゃんと伝えたのか?」

「……いえ」



 首を横に振った瞬間、ふっと笑い声が聞こえた。



「……馬鹿だな」



 返す言葉もない。

 気付いたときには壁に追いやられていて、那由多先輩に見下ろされていた。

 肩を掴む力が強い。



「いいか? 俺を振るなら、振られる覚悟くらい持て」


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