口に甘いは腹に毒

 もっと楽にしていいのに。座る姿勢もピンと伸びた背中に苦笑する。



「今日は助かった、剣」

「那由多様のサポートをするのが私の使命ですから」

「そうかそうか。俺が一番大事か」



 わざと飛躍させた言い方をした。

 剣は若干ビクッと肩を揺らし、動揺した素振りを見せる。



「さ、ようでございますが……」

「なんだ。照れてるのか?」

「い、いいえ。……いいえ」



 そう言ったきり口を閉ざす。

 素直じゃないが、可愛いやつだ。手を取るように剣の考えがわかるから、思えるのだろうか。


 剣の顔を下から覗き込む。

 緊張した面持ちと目が合った。



「言いたいことがありそうだな」



 もちろん俺の意見は優先するべきことなのだが、たまには他の考えも聞かないとな。

 一番近くにいる者ならではの助言も、サポートの内だろ?

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