口に甘いは腹に毒
そのまま玉露くんは頭を下げ、項垂れる。
え、え……? 玉露くんに悪いとこってあった……?
わたしが変な声を出さないために奮闘してた時間、玉露くんは反省してくれてたってこと?
勝手に一人で行動して、警戒心が足りなかったのはわたしだけなのに。
「あの、玉露く」
「はー……ほんと、誰だよ」
「んえ……」
「苹果ちゃんを泣かせるとか……憎らしい。絶対許せない」
ひっくい声。
ドバドバッと、容器の口から消毒液が溢れ出る。
玉露くんの左手は液でびしょびしょだ。ズボンにまで落ちようとしている。
つ、強く持ちすぎだ……。
「だ、大丈夫だよっ!? 玉露くんのおかげで安心できたっていうか! 本当に感謝してるの、ありがとねっ!」
笑顔で言いながらティッシュを五枚くらい抜き取り、玉露くんの左手を拭く。