口に甘いは腹に毒
🍰🍰




 一晩寝たら、良い感じに気分は整っていた。

 まだわたしがケーキだって決まったわけじゃないよね。ただの不審者だったかもしれないし。

 ちょっとだけ怖いから、なるべく玉露くんと一緒にいたいけど。


 ……ってね、思ってたんだ。



「や……えっとね、玉露くん」



 朝の電車は満員の車両を避けている。

 玉露くんが人混み苦手で、朝から疲れるのを防ぐためだ。

 人気のない車両ってことだから、少し不便で乗り換えのときは急がないといけないんだけどね。


 だから、さすがに席は空いてないものの立つスペースは充分にあって。

 いつもはドア前の右と左を陣取らせてもらってる、んだけど……。



「近……すぎるね?」



 適度って言葉なんて知らないみたいな至近距離。

 ぴったりと体をくっ付けて見下ろされていた。

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