口に甘いは腹に毒
過保護の弊害か、わたしと玉露くんは完全にセットとして考えられている。
だからその、わたし……友達が……。
なんて、ただの言い訳だってこともわかってる。
席に座った玉露くんを見てみれば、待ってましたと言わんばかりに寄ってきてくれる友達がいるから。
今日締め切りの宿題について聞いてるみたい。
玉露くんは頭もいいし運動もできるし、穏やかで落ち着いてるし。一緒にいて心地良いもんね……。
わかる、わかるよ。
「……っは! 宿題!?」
思わず声に出していた。
今、男子が玉露くんに聞いている数学ノートの中身……あれは……あれは一体なんだ!?
机を漁って該当のノートを開く。
最後の行には書きかけの計算式。よかった、一ミリもやってないわけじゃなかった!