口に甘いは腹に毒
安堵している場合じゃない。数学は一限である。
早速取りかかろうと教科書を広げ──閉じた。
うん、これは、当時のわたしもわからなくて解くのを諦めたんだね。
「苹果ちゃん」
目を閉じて瞑想するわたしの耳に、玉露くんの声が届く。
パチッとまぶたを開くと、手招きしている玉露くんがいた。
「おいで。教えるから」
「……!! 玉露くん……っ!」
神ッ……! 玉露神! God Gyokuro! 略してGG!
かくして、わたしは無事すっきりと一限を迎える準備ができたのだった。
いや、できた……はずだった。