口に甘いは腹に毒
「白亜 苹果」
「……はい」
「だから──正式に俺のケーキになってくれ」
……んっ?
あれ、なんか……雲行き怪しくない?
「オレノケーキ……」
というのは……。
「俺にとって食は一種の娯楽だ。それが失われた今、俺はおまえを手に入れたくて仕方ない」
「食べないって言いましたよね……!?」
「血肉をすすりたいと言ってるわけじゃない。そうだな……」
すっと手を伸ばし、親指がわたしの唇に触れた。
びくっと肩が揺れる。
わたしのリアクションに、那由多先輩はふっと頬を緩めて。
「手っ取り早いのはこれだな?」
「っ……」
テレビの中にいたって違和感のないイケメンが、わたしとキスしたいって言ってる。
そんなシチュエーションは、正直かなーり揺らぐものがあった。