口に甘いは腹に毒

 睨んでるわけじゃないけど、あの穏やかな雰囲気はなくて。

 静かな怒りを感じる。

 玉露くんは絶対許せないとまで言ってたもんね……。



「苹果、にんじんが嫌いなら食べてやろうか」

「……い、いいっ、いらないですっ」



 急いで残りのにんじんを放り込む。……うげぇ。

 でも玉露くんが作ってくれたご飯だから我慢。この世の全ての食材に感謝。

 ていうか、そもそも、



「美味しく感じないのは先輩も一緒じゃないですかっ」



 そう言い放った途端、御鏡先輩の表情が強ばった。

 ……えっ。



「……ふ、そうだった」



 すぐに笑ってくれたけど、めちゃくちゃ地雷を踏み抜いた感覚が伝わってくる。

 わたし、またフォークを軽視した発言しちゃってたかも……。

 そのつもりがなくても、そんな風に伝わってしまったら悪いのはわたしだ。

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