口に甘いは腹に毒
長年の付き合いによる勘ってやつの可能性もある。
あなどれないよ。十何年も一番近くにいた人だもんね。
露骨な態度は出さないものの、玉露くんが御鏡先輩を敵視してるのはさすがにわかる。
玉露くんに対して隠し事をほとんどしてこなかったわたしだけど、今回のことは言わないでおいた方がいいかなって思った。
校門を出て、御鏡先輩の車が消えているのを確認する。
ほっとしたのもつかの間、
「苹果ちゃんはあの先輩を拒絶しないよね」
玉露くんの鋭い一言が襲い、心が休まることはなかった。
「ええー……? そう、かなあ?」
自分の行動全てを意識してしまう。
歩き方ってこうで合ってるっけ、とか自然な振る舞いを意識するほど不自然になっている気がする。