口に甘いは腹に毒
場所が決まると玉露が立ち止まり、ブレザーの内ポケットに手を入れた。
「これどうぞ」
差し出してきたのは、茶色の封筒。
手紙か何かか? と普通に受け取って開けてみる。
……おっと。
「昨日の送迎代と病院費立て替え代、それに色を付けてお返しします」
「可愛くないプレゼントだな……」
金を直接渡してくるとは。
まるで俺が後輩から金をせびっているみたいじゃないか。
「色の分はいらない。生憎、金には困ってないんでな」
「……もらっていただかないと、困ります」
俺の手を止める力は弱い。
二人きりならもっとバチバチしてくるものだと思っていたが、さすがに恩人には強く出られないというわけか。
仕方ないな、と俺の方から切り出すことにする。