口に甘いは腹に毒


「苹果の意見を尊重したいのであれば、許可をくれてもいいだろ? どうせ最終的に苹果が決めるのは変わらない」



 玉露の心を揺さぶる。

 勝負するなら、俺は正々堂々とやりたいんだ。



「……ご勝手にどうぞ」



 微笑んでいるのは表面だけ。不機嫌に言い放つ玉露。

 お、瞳に活気が戻ってきた。



「言質はもらったぞ?」

「結局断られるだけですよ」

「どうだかな」



 本当に、苹果が自分の意思だけで俺と接してると思ってるのか。

 無意識を変えさせるのはなかなか骨が折れそうだ。

 ……でもやりがいがあって面白い。



「というわけで、金は返す」

「いりません」



 封筒を押し付けて、やり返される。

 意地を張り合い、押し問答を繰り返す。


 このままでは埒が明かないので、そろそろ俺が譲歩するしかないか、と思っていたら……。

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