口に甘いは腹に毒
御鏡一味に振り回されて、顔が火傷しそうなくらい熱い。
わたしをからかって楽しんだ御鏡先輩……もとい、那由多先輩は大声をあげて笑っていた。
「言質取れそうだったのになあ」
「取れても無効!」
「いいや? 俺の前では無効が無効だ」
めちゃくちゃなことを言ってるのに、謎に納得感があって悔しい。
「現にデートのことも言質を取ってるんだ。今になって玉露が撤回したところで無駄だ」
「……!」
まさかの、ここで悩みが回帰してきた。
「あ、あの! それって確実にっ、玉露くんが許可したんですか?」
食い気味に質問すれば、那由多先輩の目付きか変わる。
まるで待ってましたと言わんばかりだった。
「どうだと思う?」
「どう……?」