今宵も鳴らない電話
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帰宅したのは深夜遅くだった。終電より前の電車で帰れただけマシだろうか。
くたくたになりながら、ドカッとソファに腰掛ける。頭を天井に向け、大きく息を吐いた。
テーブルの上には郵便受けに入っていた広告やら郵便やら、雑多に放置している。
その中に一際綺麗な封筒があった。クリームベージュの光沢感のある封筒で、映画のものと思われる記念切手が貼られている。
何となく乱暴にこじ開けるのは気が引けたので、ハサミで封を切った。
中に入っていたメッセージカードを見て、大きく肩をすくめる。
――ああ、ついにか。
スマホをソファに置き、瞳を閉じて反芻する。
もう八年になるのだろうか。
彼女とも映画を観に行ったことを思い出す。それも、ちょうど今くらいの時間から。
あれはまだ、自分が大学生の頃だった。
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