今宵も鳴らない電話
実際愛美からの電話がこなくなった。それはつまり、順調だということ。
一日に何度もスマホを確認しても、着信履歴は残らない。メッセージも止まったまま。
愛美からの連絡が途絶えて、何日経っただろう。二週間連絡がないのは初めてだった。
いつもなら一週間経てば電話が鳴る。もうそろそろか、と思った頃にコール音が鳴るのだ。
余程順調なのかと思うと胸の奥が苦しくなる。
三週間が過ぎ、一ヶ月が経とうとするところで自分から連絡してみようかと思った。
(何を話せばいいんだ……?)
今、元気? 何してる?
彼奴とは順調なの? なんて自分から墓穴を掘るようなこと聞けるわけがない。
とは言え、やはり気掛かりなところもあるし、思い切って自分から電話をかけてみることにした。
もしかして、万が一連絡ができないような状況に陥っていたのだとしたら。そんなことがあって欲しくないと思いつつ、場合によっては願ってしまう浅ましい自分もいる。
とにかく、空夜は愛美とのトーク画面の通話をタップした。
時刻は二十二時。もし家に一人でいるのなら、寝支度をしているところだろうか。
《……もしもし?》