今宵も鳴らない電話
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「おーい、空夜!」
少し遅れてきた空夜を出迎えたのは、大学時代の友人・松原だ。
卒業後IT系企業に就職し、エンジニアをしている。社会人になって一年目の頃はよく飲みに行っていたが、最近はご無沙汰だった。
「久しぶり」
「おう、元気か?」
「まあぼちぼち」
八年の月日が経った今、空夜はある飲料系企業の販売部で働いている。毎日仕事に追われる日々だが、自分のスキルに自信がついてきて仕事が面白いと感じるこの頃でもある。
「そういえば、空夜と愛美ちゃんって幼馴染じゃなかった?」
「え? ああ、そうだな」
「ずっと連絡取り合ってたの?」
「いや、全然。この前会社で異業種交流会あって、たまたま再会した」