愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
あまり温度を感じさせない濃い色だと思ったが、こうやって真っ直ぐに見ると淡い色へとグラデーションになっていて思ったよりも温かそうだ。
「ですから、貴方です。アルド・グランジュ殿下、私の旦那様」
「なにを」
「貴方を指名します、私と恋をしてください」
言われた言葉を唖然とした表情で聞いていたアルド殿下は、すぐにまた後の側近へと顔を向けるが、当の側近はこちらに完全に背を向けてブククと笑い声を漏らしていた。
「誰でもいいって言ったの、アルド殿下ですからね!」
「ま、待てそれだと俺の計画が」
「知りません、約束しましたッ! 私の夫は貴方だけだし貴方の妻も私だけです、貴方の子を産むのも私ですのでッ!」
べーっと舌を出し、挨拶のために通された彼の執務室の扉を少々乱暴に開けた私はそのままその部屋から飛び出す。
「ざまーみろ、よ!」
ズズッと鼻を啜り、滲みそうになる視界を誤魔化すべく自身の両頬をパチンと叩いた。
この程度で泣くような私じゃないから。
フン、と鼻を鳴らし胸を張った私はそのままアルド殿下の執務室に背を向けたのだった。
「ですから、貴方です。アルド・グランジュ殿下、私の旦那様」
「なにを」
「貴方を指名します、私と恋をしてください」
言われた言葉を唖然とした表情で聞いていたアルド殿下は、すぐにまた後の側近へと顔を向けるが、当の側近はこちらに完全に背を向けてブククと笑い声を漏らしていた。
「誰でもいいって言ったの、アルド殿下ですからね!」
「ま、待てそれだと俺の計画が」
「知りません、約束しましたッ! 私の夫は貴方だけだし貴方の妻も私だけです、貴方の子を産むのも私ですのでッ!」
べーっと舌を出し、挨拶のために通された彼の執務室の扉を少々乱暴に開けた私はそのままその部屋から飛び出す。
「ざまーみろ、よ!」
ズズッと鼻を啜り、滲みそうになる視界を誤魔化すべく自身の両頬をパチンと叩いた。
この程度で泣くような私じゃないから。
フン、と鼻を鳴らし胸を張った私はそのままアルド殿下の執務室に背を向けたのだった。