愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
「そんなの、アルドと夜を過ごしたからに決まっているじゃない」
「な、なんですって……!?」

 私の言葉に唖然とした王女が私の後ろをキッと睨む。

「絶対に近付けないでって言ったじゃない! お兄様はチョロいところがあるっていうのに!」
「も、申し訳ありませんッ!」
「なっ」

“ミィナにそんなことを頼んでいたの……!?”

 確かにアルドの部屋の場所を聞いた時、歯切れが悪かったことを思い出す。

 まさかその原因が彼女だったとは!

「はっ、まさか私に侍女がいないのって」
「もちろん私が指示したからです。貴女程度の女がお兄様に釣り合う訳なんてないんですもの!」

“それもお前の仕業かいっ!”

 思わず内心口汚くツッコんでしまった私は、すぐに頭を振って深呼吸した。

「釣り合うとか釣り合わないとかは関係ないのでは? そもそも王族の結婚というのは政略的なものでしょう」
「それは……っ!」

 私が口にしたのは世間一般の常識だった。
 はず、なのだが。

「わかってる、わかってるわよ、でも……っ、私はっ」
“?”

 何がキッカケだったのかはわからない。
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