愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
しかし何故かショックを受けたらしい王女が表情を暗くし、目元に涙がじわりと滲む。
「え? あの、モニーク王女殿下?」
「でもその日が来るまでは、王族だって……っ」
「ちょ、大丈夫ですか?」
どこか苦しそうに混乱しながら彼女が更に一歩後退る。
そんな彼女の後ろには装飾として飾られている大きな花瓶が置いてあった。
“あ!”
ハッとした時にはもう遅く、彼女がぶつかってしまうとそう思った、その時だった。
「危ないですよ、殿下」
「クリス……」
王女がぶつからないように一人の黒髪の男性がそっと抱き止める。
クリスと呼ばれたその長身の男性は、まるで王女を安心させるようにふわりと微笑むとすぐに表情を消して私たちへと向き直った。
「クリストフ・メーベルトです」
「あ……、えっと、セヴィーナ・グランジュです」
「………………」
「………………」
何か言われるのかと思ったが、名乗っただけでそのまま口を閉ざしてしまった彼に戸惑ってしまう。
この変な沈黙をどう対処しようかと思っていると、ミィナがそっと口を開いた。
「え? あの、モニーク王女殿下?」
「でもその日が来るまでは、王族だって……っ」
「ちょ、大丈夫ですか?」
どこか苦しそうに混乱しながら彼女が更に一歩後退る。
そんな彼女の後ろには装飾として飾られている大きな花瓶が置いてあった。
“あ!”
ハッとした時にはもう遅く、彼女がぶつかってしまうとそう思った、その時だった。
「危ないですよ、殿下」
「クリス……」
王女がぶつからないように一人の黒髪の男性がそっと抱き止める。
クリスと呼ばれたその長身の男性は、まるで王女を安心させるようにふわりと微笑むとすぐに表情を消して私たちへと向き直った。
「クリストフ・メーベルトです」
「あ……、えっと、セヴィーナ・グランジュです」
「………………」
「………………」
何か言われるのかと思ったが、名乗っただけでそのまま口を閉ざしてしまった彼に戸惑ってしまう。
この変な沈黙をどう対処しようかと思っていると、ミィナがそっと口を開いた。