愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
「お断りします」
「なっ!」
「だって私、アルドと恋をするって約束をしましたから」
「お、お兄様と……!?」

 にこりと笑ってそう言うと、対照に彼女が驚き愕然とした表情になる。

「アルドも受け入れてくれたわ。だから私が彼の部屋から出てきたんじゃない」
「そんな、まさか、あり得ないわ……!」

 まるで立ち眩みを起こしたようにふらっとした彼女をすぐにクリストフ卿が支え、軽く頭を下げてからその場を去る二人を見送った。


「ミィナ、次にすべきことが見つかったわ」
「え? またですか、もう嫌な予感しかしないんですけど」

 ――一人ではどうしてもキッカケがなくて出来なかった社交。

 だが、もし彼女を味方につけられたのならば。


“王女と一緒になら招待してくれる家があるかもしれないし、王女主催のお茶会だってあるはずだわ”

 それに何より彼女はアルドの妹。
 つまりは私の義妹なのだ。

“末っ子だった私に、妹が出来るなんて”

 姉たちからは見向きもされなかった。
 だからこそ私は、そんな姉にはなりたくないから。

「落とすわよ、王女を!」
「やっぱり嫌な予感がしたんですよぅっ!」

 私はそう声高らかに宣言したのだった。
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