愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
「もし本当にそうなら途中からでも侍女を一緒に連れて行けばいいんです。それなのにクリストフ様しか連れていないということは二人っきりでいたいってことなんですよ」

 私の見た状況から推測した王女の心情を告げるが、あっさりとそう言い返されて一瞬口ごもる。
 だが、私が見たのはそれだけではない。
 
「それに私室に入った王女はすぐに出て来たわ。扉の前で待たれているのがプレッシャーだったからよ!」
「いいえ、早くクリストフ様の元に戻りたくて急がれただけですよ」

 またもあっさりそう返され私は思わずうぐぐと唸った。
 けれどまだだ。まだ、まだ私が見て感じたことは他にもある。
 
「た、ため息だって吐きっぱなしだったわよ! 嫌いな人といることが苦痛で自然とそうなったに違いないの!」
「い、い、え! それはため息ではなく感嘆の吐息ですよ! 好きな人と過ごして自然とそうなってるんですよ!」
「す、好きな人ですって……!?」

 これぞ状況から導き出した真実なのだと断言した私とは正反対のことを断言したミィナのその勢いに思わず後退りしてしまう。
 そしてミィナの導き出した私とは正反対のその解答に驚愕した。
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