愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!

17.彼ならきっと背中を押してくれるもの

“でも、まさか王女が護衛騎士に恋をしていただなんて”

 私にも護衛騎士がいた祖国では、振り向かせたい相手は家族だけで精一杯だったので、まさかそんなこと全く気付かなかった。
 気付かないどころか正反対の思い込みをしていたのだが――

「そう言われて見ると、確かにそう見えないこともないかもしれないような気がしなくもないわね」
「あまりにも往生際が悪いです」

 呆れたミィナに言い捨てられて、私が思わずむぅっと唇を尖らせる。

 
 ちなみにアルドと夜を共にした翌日から騎士たちとの訓練はしばらく休みにして貰った。
 社交という、王太子妃として最も優先しなくてはならない仕事への糸口を見つけたからである。

 叱咤されることも覚悟していたのだが、そのことを伝えた時のベルモント団長は怒るどころかむしろどこか安堵し嬉しそうな様子だったのでちょっと納得はいっていない。

“社交の次は、騎士の訓練に参加するだけじゃなく騎士としての地位を狙ってみるのも悪くないわね”

 騎士団内の序列はやはりというか流石軍事力に優れたグランジュというか、単純明快に模擬試合による勝敗のみだった。
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