愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!

18.微笑みの先は

 午前中の失態で落ち込んでいた私は、ミィナが持ってきてくれた美味しいお昼ご飯のお陰ですっかり立ち直り、今はむしろリベンジの心に燃えていた。

 そしてそんな私がまず向かったのは庭師のところである。

 かなり困った顔をされつつも、剪定したり残った花がらとして摘まれた花たちを大量に貰った私はミィナと一緒にそれらを抱えて庭園に行き、庭園の中でも大きな木に登った。

 
「なっ、なっ、なんで私まで登らなきゃいけないんですかぁ!」
「ミィナだけを一人地上へ残すわけにはいかないじゃない」

 王城の庭園にある植込みの高さはせいぜい腰の高さ。
 いくら私が木の上に身を隠しても、ミィナがそこにいればバレてしまうので彼女にも登って貰うしかなかったのだ。

 もちろんクリストフ卿にはバレてしまうだろうが、観察していて気付いたのは害意を持っていなければ排除されないということ。

“気配を消した私に気付いたあとも気付かないフリをしてくれていたしね”

 きっと彼が王女を守るということだけを最優先に考えているからこその見逃しだ。


「そういう幸運には甘えなきゃね!」
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