愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!

19.誰かの願いは誰かのエゴで

 アルドの提案で食事を彼の私室で食べた私は、先に湯あみを終えて彼のベッドに腰かけた。

“ここに来るの、あの時以来ね”

 彼との夜を連想した私の顔が一気に熱くなる。
 きっと赤くなっているのだろうが、室内が暗いので彼には気付かれずに済むだろうと思いホッとした。

 少し遅れて湯あみを終えて戻って来たアルドを見てドキリとしたのだが、彼は私の横ではなくベッド横に置いてある一人用ソファに腰かけた。

 てっきり一緒にベッドへ座るのかと思ったため、彼が私の向かいに座ったことに少しだけ驚く。

「それで、セヴィーナは何がしたかったんだ?」
「だからその、虹をかけたり、あと花を降らせてロマンチックに演出しようとして、でも上手くいかなくて」

 率直に聞かれ、なんだか責められているような気がしもごもごと答える。

“迷惑をかけたんだから仕方ないことよ”

 成果も出ず、更には言い訳をしているような気がしてそんな自分にへこみ俯いた私の頭を、まるで子供をあやすようにガシガシと撫でられた。

「ちょ、何するのよっ!?」
「ははっ、いやぁ落ち込んでんなって思って」
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