愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
「お、起きているなら何かいいなさいよっ!?」
「いや、何言ってんだろうと思って」

 かなりの勇気を出して言っただけに羞恥とも怒りともわからない感情で一気に頭に血がのぼる。
 
「何言ってんだろうと思ってですって!? そ、そんな言い方ってないんじゃ……」
「それ、俺からも触っていいってことだよな?」
「――あ、え? それはその……望むところよ!」

 きゃんきゃんと声をあげた私だったが、改めてそんな確認をされてドキリと心臓が跳ねた。
 勢いに任せて彼の言葉を肯定すると、少し体を起こしたアルドの唇が私の額に落とされる。

 そのままするりと降りた唇が耳を掠め頬に口付けをし、一呼吸おいて私の唇と重なった。

 さっきまで怒りともいえない感情に支配されていた私の固くなった心がたったこれだけでじわりと溶けだし、幸福感を覚える。

 
 アルドの唇が私の下唇を食むように挟み、そっと舌でなぞられると、促されるまま唇を開いた。

「ん、んっ」

 薄く開いた唇をこじ開けるようにアルドの舌が入れられ、すぐさま私の舌と絡められる。
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