愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
 内心で文句を言った私は、返事の代わりに彼の背中に腕を回す。そのままぎゅっと抱きしめると、アルドの体がピクッと反応した。

“可愛い”

 怒っていたはずなのに、たったこれだけのことで機嫌を直してしまった自分に苦笑する。
 きっと本当は最初から怒っていなかったのだと、そう思った。


「動いて、いいわよ」

 なんだかんだで私からの許しを貰うまでは動かないつもりだったのか、私の言葉を聞いたアルドが気遣いながらゆっくりと腰を引く。

「あ、はぁ……ん」

 全て抜けるギリギリまで腰を引いたアルドが、すぐにぬぷぬぷとまた時間をかけて挿入すると私の愛液が溢れ肌を滴るのがわかった。
 最初はゆるゆると動いていたアルドだが、少しずつ抽挿のスピードがあげる。

 ぐちゅんと奥まで貫かれる度に私の背筋を快感が駆け上り、部屋中にはぱちゅぱちゅと卑猥な水音が響いた。

「ん、アルド、アルドっ」
「く、んな締め付けんな、もたないだろ……っ」

 必死に彼の名前を呼びしがみつくと、いつの間にか彼からもどこか焦ったような余裕のない吐息が溢れ、そしてその吐息ごと交わるように深く深く口付けられる。
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