愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
根は素直な子なのだろう。
「そんなに高いものじゃなくてごめんね」
「いえ。その、ありがとうございます」
「どういたしまして」
ぺこりと頭を下げた彼女を今度こそ見送ろうとした私は、ふとあることを思い出す。
「そうだわ、私のことはこれからもお嬢様って呼んでいいわよ」
出ていこうとしている彼女の背中にそう声をかけると、あからさまにビクリと肩が跳ねた。
“本当に可愛いんだから!”
今度こそ叱られるのかと思ったのか、それとも保湿液を渡したことで彼女の中で罪悪感が芽生えたのか顔色を悪くして振り向くミィナ。
そんな彼女にくすりと笑った私は再びにこりと微笑みを向けた。
「お嬢様って呼ばないと周りのメイドから、乗り替えたのか、なんて言い掛かりを付けられるんじゃない?」
「そ、れは……っ」
「それに私、『お嬢様』なんて呼ばれたことがなかったの。だから少しその呼び方に憧れていたのよ。もちろん蔑み目的で言われるのは悲しいけど……ミィナはもう、そんな意味では呼ばないでしょう?」
「ッ、は、はい。もちろんでございます……、お嬢、様」
「そんなに高いものじゃなくてごめんね」
「いえ。その、ありがとうございます」
「どういたしまして」
ぺこりと頭を下げた彼女を今度こそ見送ろうとした私は、ふとあることを思い出す。
「そうだわ、私のことはこれからもお嬢様って呼んでいいわよ」
出ていこうとしている彼女の背中にそう声をかけると、あからさまにビクリと肩が跳ねた。
“本当に可愛いんだから!”
今度こそ叱られるのかと思ったのか、それとも保湿液を渡したことで彼女の中で罪悪感が芽生えたのか顔色を悪くして振り向くミィナ。
そんな彼女にくすりと笑った私は再びにこりと微笑みを向けた。
「お嬢様って呼ばないと周りのメイドから、乗り替えたのか、なんて言い掛かりを付けられるんじゃない?」
「そ、れは……っ」
「それに私、『お嬢様』なんて呼ばれたことがなかったの。だから少しその呼び方に憧れていたのよ。もちろん蔑み目的で言われるのは悲しいけど……ミィナはもう、そんな意味では呼ばないでしょう?」
「ッ、は、はい。もちろんでございます……、お嬢、様」