愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!

21.ロマンチックをごり押して

「少し二人きりで話せるかしら?」

 翌日、王女のルーティンのひとつである温室へと再び乱入した私は、王女へとそう告げた。
 の、だが。

「お断りいたします」
「えっ!?」
「どうしてそこで意外そうな顔をなされるのかしら。当たり前ではなくって?」

 冷たくそういい放たれてドキリとする。

“そうよ、私はただの人質、それも敵国から来た人間だわ”

 そんな相手と二人きりだなんて危ないと考えたのかもしれない。
 そう思い思わずしゅんと俯いた私に告げられたのは、ある意味当然だと思える言葉だった。

「貴女が何かをすると必ず面倒なことになると私は学んだのです!」
「……え、理由は私がすぐに空回るから、ですか?」
「空回るですって!? だったら一人で回ってなさい、私まで巻き込まないでと言っているのです!」

 キッと睨むようにそんなことを言われ、思わず小さく笑ってしまう。

「な、なんでここまで言われて笑えるのですか!」
「それは……」

“この反応がどことなくアルドとミィナに似ているからよ”

 勝手に動く私のせいで振り回されがちなアルドに、大体のことに巻き込んでしまっているミィナ。
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