愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
そんな二人からよく怒られはするが、祖国のことを言われたことは一度もないのだ。
そして、それは王女もらしい。
“リヒテンベルンから来た人質ではなく、王太子に嫁いだ迷惑な嫁って見てくれているんだわ”
もちろん大前提としてリヒテンベルンから来た人間だという認識はあるだろうし、そもそも『迷惑な』という部分が痛くはあるが、現状が現状なのでそれは仕方ないだろう。
そしてそれでも彼らは私を『セヴィーナ』として見てくれているから。
――だったら私は、その優しさに甘えてもう少し暴れさせて貰うわ。
「二人きりで話せないのなら仕方ないわね。私が話したいのは、王女殿下がお慕いしているクリスト――……」
「お、おぉお、お黙りなさい!? やっぱり私も内密な話は二人きりの方がいいと思いましたわ!!」
私の言葉を遮るようにガタンと立ち上がった王女が慌てて声を張り上げる。
「だからその、クリスは少し出ていてくれるかしら」
「かしこまりました」
「あぁ、いえ、場所を変えましょう」
「……?」
王女の命に従って即座に温室を出ていこうとしていたクリストフ卿がその歩みを止める。
そして、それは王女もらしい。
“リヒテンベルンから来た人質ではなく、王太子に嫁いだ迷惑な嫁って見てくれているんだわ”
もちろん大前提としてリヒテンベルンから来た人間だという認識はあるだろうし、そもそも『迷惑な』という部分が痛くはあるが、現状が現状なのでそれは仕方ないだろう。
そしてそれでも彼らは私を『セヴィーナ』として見てくれているから。
――だったら私は、その優しさに甘えてもう少し暴れさせて貰うわ。
「二人きりで話せないのなら仕方ないわね。私が話したいのは、王女殿下がお慕いしているクリスト――……」
「お、おぉお、お黙りなさい!? やっぱり私も内密な話は二人きりの方がいいと思いましたわ!!」
私の言葉を遮るようにガタンと立ち上がった王女が慌てて声を張り上げる。
「だからその、クリスは少し出ていてくれるかしら」
「かしこまりました」
「あぁ、いえ、場所を変えましょう」
「……?」
王女の命に従って即座に温室を出ていこうとしていたクリストフ卿がその歩みを止める。