愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
 怪訝な顔で顔を見合わせた二人に、私はにこりと微笑んだ。

「だってここ、壁がガラスで中が丸見えなんだもの!」



「……ここが貴女の私室……、シンプルすぎないかしら? 家具も最低限じゃない」
「でも物はいいんですよ、あまり最初から沢山の家具を設置しておくと私が物を増やした時に手狭になるからじゃないかしら」
「まぁ確かに物はちゃんと高級品ね」

 ぐるりと王女が室内へと視線を巡らせた先にあったのは、祖国リヒテンベルンに似た絵画。そしてその隣には私が望んだグランジュの風景が描かれた絵画だった。

「アルドが用意してくれたんですよ」

 無断で視察について行ったあの日の約束をちゃんと守りプレゼントしてくれたのだ。

「……そう。お兄様が……って、えぇっ!?」

 少し考え込むようにその絵画に見入っていた王女が突然驚いたような声をあげる。

「そんなに意外でしたか?」
「違いますわよ! いえ違わないけれど、そうではないわ!?」
「?」
「どうして貴女、脱いでいるの……!?」
「どうしてってそれは……ねぇ?」
「ひっ!」
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