愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
少し辿々しく呼ばれた『お嬢様』は、最初に呼ばれた時よりもくすぐったくて心地よくて。
“やっぱり悪くはないわね”
なんて私に思わせたのだった。
「そういえばこの部屋って誰が準備してくれたの?」
それはふと気になって何気なく聞いた言葉。
“わざわざリヒテンベルンに似た風景画を飾ってくれているのだもの、きっとこの絵画は人質である私の心が少しでも晴れるようにという配慮なのよね”
嫁いで来たばかりだというのにもうどこか懐かしいこの風景が飾られているのは、きっと偶然ではなく、単身嫁いで来た私の心を少しでも慰めるため。
だからこそ機会があるかはわからないが、もし可能なら一言お礼を言いたいと思ったのだが――
「こちらは王太子殿下がご指示されたと聞いております」
「そうなの?」
その想定外の人物に思わず目をパチクリさせた。
“アルド殿下が私のために?”
そう思うと、私の心がじわりと温かくなる。
『貴方を指名します』なんて言ったくせに、本当は少し自信がなかった。
好きになって貰えるか、ではなく私自身が好きになれるかどうか。
“やっぱり悪くはないわね”
なんて私に思わせたのだった。
「そういえばこの部屋って誰が準備してくれたの?」
それはふと気になって何気なく聞いた言葉。
“わざわざリヒテンベルンに似た風景画を飾ってくれているのだもの、きっとこの絵画は人質である私の心が少しでも晴れるようにという配慮なのよね”
嫁いで来たばかりだというのにもうどこか懐かしいこの風景が飾られているのは、きっと偶然ではなく、単身嫁いで来た私の心を少しでも慰めるため。
だからこそ機会があるかはわからないが、もし可能なら一言お礼を言いたいと思ったのだが――
「こちらは王太子殿下がご指示されたと聞いております」
「そうなの?」
その想定外の人物に思わず目をパチクリさせた。
“アルド殿下が私のために?”
そう思うと、私の心がじわりと温かくなる。
『貴方を指名します』なんて言ったくせに、本当は少し自信がなかった。
好きになって貰えるか、ではなく私自身が好きになれるかどうか。