愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
「それよりどこを目指されてますの?」
「花畑ですよ。ミィナにロマンチックな場所ってどこがあるのかを聞いたら、なんでも彼女のお母様がプロポーズをされた場所があるって聞いて」

 この情報は、故意ではないとはいえ私がうっかり彼女を木の上に置き去りにしてしまった後に聞いたものだった。

“翌朝部屋に戻ったらかなり拗ねたミィナがいたのよね”

 わざとそうしたわけではないとその場にいたので理解はしてくれたが、一人降りれない木の上に置き去りにされたということはかなり怖かったようで、完璧にむくれてしまっていた。
 
 たまたま通った庭師にすぐ下ろしてもらったらしいが、拗ねた彼女の機嫌を取るのには苦戦し、少しでも気を紛らわせようと彼女に色んな話を聞いた。
 そして今回の話もその時に話してくれたことのひとつだったというわけである。

「そのロマンチックな場所と今回の件がどう関係ありますの?」
「すぐわかりますよ」

“私の推測通りなら、きっと”

 ラオをゆっくり歩かせながら辺りを見回す。
 そのまま少し進んだ先に、ミィナに聞いていた場所があった。

「わ、美しい場所ね」

 思わず感嘆の声が漏れる。
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