愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!

23.ハッピーエンドは作るもの

「最後の我が儘で、申し訳ありませんでした」

 今想いを重ね合わせたばかりの二人の邪魔をしないよう、その場から少しずつ離れていた私にそんな言葉が聞こえて固まる。

“最後?”

 これから始まるのだと疑っていなかった私は驚いて振り返った。

「ど、どうして最後なの?」

 唖然としながらそう口にすると、悲しそうな顔をした王女と、逆にどこか吹っ切れたような微笑みを携えていたクリストフ卿がそこにいた。

「当たり前でしょう、彼は私を守れなかったわ」
「は?」
「えぇ、その通りです。護衛対象が拐われるという失態を招きましたので」
「あぁ、二人のいう通りだ」
「アルド!?」

 そしてここにいる予定のなかったアルドの声まで聞こえ、私は更に驚き目を見開く。

「ミィナにダレアもいるの?」
「彼女には道案内を頼みました」
「あぁ……」

 そういえばここはミィナのお母様の思い出の場所だったと思い出す。

「残念だが、クリストフはモニカの護衛を外す。処罰も免れないだろう」
「はい。処罰は如何様にも」

 美しい景色とは対照に重苦しい空気がその場に漂う。
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