愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!

24.ごめんなさいと、言っておくわね

「……また来られたの?」
「義妹と親交を深めようと思っているだけよ」

 はぁ、とモニーク王女に大きなため息を吐かれつつも、なんだかんだで追い返されないことに気付いた私が現在居座っているのは彼女の私室だ。


 あの王女誘拐事件から数日。
 劇的に変わったことがいくつかある。

 まさにその『変わったこと』のひとつが、王女殿下が自身の私室にいる時間が長くなった、ことであった。

“まぁ、理由は明白なんだけどね”

 今まではクリストフ卿と共に過ごしたいからと彼女は主にガラスの温室にいることが多かった。
 それはもちろんただの護衛騎士が王女の私室、それも寝室のある私室に足を踏み入ることが許されないということが理由である。

 とは言いつつも、二人きりでなければ護衛として入ることは認められていた。
 それなのにクリストフ卿が一歩も入室したことが無かったのは、一重に彼が堅物生真面目だったからだろう。

“前提に自身の下心があったのかもしれないけどね”

 
 そして今、頑なに入らなかった彼女の私室の中にいるクリストフ卿へと視線を向けた。
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