愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!

3.認めてもらうためには

 王太子の結婚ではあるが、あくまでも我が祖国に対する警告の為の婚姻だったからか書類上だけでサクッと結婚した私たち。

“その後呼び出されてあんな提案をされたのだけれど……”

 その提案を盾にアルド殿下と恋をする約束を取り付けた私は、カーテンから差し込む朝日をベッド横で逆立ちしながら眺めていた。

 
「予想通りね」

 あの約束はアルド殿下の揚げ足を取りほぼ一方的に結んだもの。

 アルド殿下側に守る義理はないのだとわかってはいたが――

「でも初夜だったのに! 本当に来ないんだから!!」

“いや、最初から私の閨には来ないって宣言されていたけどッ”

 むむむ、と顔をしかめながらフンスフンスと腕立て伏せをはじめると静かに扉がノックされる。

 中に入ってきたのは昨晩初夜をすっぽかした旦那様……では、なく。
 メイドのミィナだった。
 
「お目覚めですか、お嬢さ――ぎゃっ!」
「おはよう、ミィナ。どうかした?」
「ど、どうかしたって……、な、何を」
「何って……腕立て?」
「逆立ちでですか!?」
「さっきまで逆立ちしてたから」
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