愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
 なんと王子妃宮に沢山の使用人が来るようになったのである。

“元々来なかったのは王女が来させないように命令していたからだったものね”

 クリストフ卿との仲を取り持ったことのお陰か、突然その命令の撤廃がされたのだ。

 今まではミィナ以外の侍女や他のメイドは見たことなど無かったのだが、今では掃除をしてくれている姿や朝の支度の手伝いになんとおやつまで持ってきてくれるようになった。

“まぁ、見かけなかっただけで掃除とかされてたんだけど”

 そして一番の変化は、侍女長が会いに来たことである。

「まさかミィナのお母様が侍女長だったなんてね」

 私はてっきりミィナが一番下っ端だから嫌がらせをさせるため送り込まれたのだと思っていたのだが、実際は違ったのだ。

“王女の命令に背いても侍女長という自分を犠牲にしてことを収める、そしてそんな彼女が最も信頼して送り込める相手が娘のミィナだったってことね”

 会ったその場で深く頭を下げた侍女長。
 彼女は立場上王女に逆らうことは出来ず、だが危険を冒してまで秘密裏に娘を送り込んでくれた。
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