愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
“今回私がどれだけ危ないことをしたのかと怒る気持ちはよくわかる。そしてそれだけ心配してくれたからこそのお説教だものね”

「だからこそ私は受け入れているの」
「そ、そうですわね? お兄様の、というか殿方の気持ちを体で受け入れることも、その、必要だものね」

 挙動不審だった彼女が途端に顔全体を真っ赤に染め、もじもじとしだす。
 その様子に私の脳内では疑問符が飛び交った。

「とは言え、流石に連日過ぎて……。私は寝坊しても怒られない立場だけど、アルドはそうじゃないじゃない?」
「それはまぁ、優先すべき公務のひとつに励んでいるとはいえ、他の公務を疎かにしていいわけではありませんものね」
「それに凄くネチネチネチネチしてるのよ」
「お、お兄様ってばそんなにネチネチしておりますの!?」

 驚愕の声を上げた王女に大きく頷いて肯定する。
 
 ここ数日、毎晩のようにお説教をされているのだ。
 これがネチネチしていないとすれば何をネチネチと表するのかわからないくらいである。

「勉強しろ、って何冊も本を渡してくるし」
「な、何冊も……!? そんなに色んな楽しみ方をお兄様が望んで……!?」
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