愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
「しかも音読するように強要もしてくるのよ」
「お、音読ですって!? こ、これが世に言う羞恥プレイというやつですの……ッ」
「世に言うかはわからないけれど、アルドの常識みたいだわ」

 説教ついでにと渡されたのは主にグランジュの歴史書から子供に教えるためのマナー本のようなものまで様々な本たちだった。

“確かに声に出した方が覚えは早いんだけれどね”

 だが祖国ではあまりそういった教育を受けていなかったこともあり、ありがたいのも事実である。

「いつどこで何を披露することになるかはわからないことを考えれば、当然ではあるものね」
「当然……!? い、一体お兄様はどこでナニを披露するおつもりだと言うの……!?」
「え? そりゃ……学んだこと全部じゃないかしら」

 だって私は王太子妃なのだ。
 マナーは当然、それに国の歴史や周辺国のこと、ダンスだってもちろん披露することもあるだろう。

 そう考えればどんな勉強だって絶対に無駄にはならないはず、そう思った私が素直に「全部」と言ったつもりだったのだが、何故かその回答を聞いた王女がみるみる震えだして唖然とした。

「ちょ、ちょっと大丈夫……!?」
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