愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
 メイベルク王国は、この大陸の山脈側に位置しているグランジュとは違い、海側に面している国でありここグランジュ、そして私の祖国であるリヒテンベルンとも友好国であった。

“祖国でもたまにメイベルク王国の使節団が来ていたもの”

 また、グランジュと同じくらいの領土を持ちリヒテンベルンとは比べ物にならないくらいの大国で、姉様たちはメイベルク王室へと嫁ぐのを競っていたようにも思う。

 思う、というのは単純に私がその話し合いには呼ばれもしなかったからなのだが、どこからか情報を聞いてきてくれたジークに教えられたから覚えていた。

“グランジュだって同じくらい大きな国なのに、人気はなかったわね”

 もちろん人質としての輿入れだったのだから人気がなくて当然と言われれば当然なのだが、そのグランジュへ嫁ぐ話し合いにだけ呼ばれたことを考えると、もしかしたら最初から私を人質として出すつもりだったのかもしれないとそう思った。

「まぁ、私は今の方が幸せだって断言できるしいいんだけどね」
「私は自分の仕事がおかしいということを断言しますけど」
「え、そうかしら?」
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