愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
 私の苦し紛れの説得に少し心が揺れたらしく、考え込むミィナを見て、私はここだと畳み掛けるように言葉を重ねる。

「第一騎士団は男性騎士ばかりだし、私にはもちろんアルドがいるわ。つまりミィナが紅一点よ」
「た、確かに……?」
「団長であるベルモント卿も独身らしいじゃない! 見た目も38歳には全然見えなくて若々しいし、何より団長職で安泰よ」
「確かに……!」

 そんな私の説得が効いたのか、ミィナの機嫌が良くなったことに安堵しつつ私は今日の訓練へと向かったのだった。
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