愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!

26.遅すぎる気付きを挽回するために

 騎士の訓練というのは実は意外と地味であり、主に体作りというものが最優先されていることが多い。

 つまりは筋肉トレーニングと持久力を上げるための走り込みである。

 それはここグランジュの、第一騎士団とて同じだった。
 

「腕立て50回が終わった者から訓練所を20周、5分休憩後に腹筋からもう一セット!」
「ハイッ!」

 騎士たちに交じり返事をした私はすぐさまその場で腹筋を始める。
 腹筋の次は背筋、スクワット、腕立てをして走り込み。

 その行程を三セット繰り返した後にやっと素振りをし、自身の型崩れを矯正しながら洗練させていくのだ。

“型崩れの矯正以外はジークとリヒテンベルンでやっていたことと似通っているわね”

 というかむしろそれは同じと言っても過言ではないくらいで、やはり強くなるには基礎こそが大事なのだと改めて実感した私は気合いを入れて二セット目の走り込みを開始したのだった。


「お嬢様、こちらを」
「ありがとうミィナ」

 体作りの基礎訓練を終えた私にすかさずミィナが朝準備してくれていたハンカチを手渡してくれる。
 そのハンカチで汗を乱暴に拭いながら訓練所を見渡す。
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