愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
“基礎訓練が終わっているのは三割ってところね”

 私の護衛騎士はおそらく第一騎士団から選ばれるのだろう。
 理由は単純で、ここ第一騎士団の管轄が王太子であるアルドの管轄だからである。

「とは言っても、私より時間がかかっている騎士はダメよねぇ」
「不甲斐ない部下たちで申し訳ありません」
「ベルモント卿!」

 品定めするように見ていたことがバレて少し気まずくなった私だったが、ベルモント卿はそんなこと気にしていないどころかむしろ彼らに対し呆れたようにため息を吐いた。
 

「アルドから打診って入っているのかしら」
「護衛の件でしたら何名か候補を出しておくように言われております。妃殿下より身軽で足が早く、容赦なく取り押さえられる騎士を、との事で」
「ねぇ! 取り押さえるのは敵ってことよね!? まさか私を取り押さえるのに躊躇わない人って意味じゃないわよね!?」
「ふふふ」
「ふふふ!?」

 明確に違うと言われなかったことに唖然としていると、ベルモント卿がわざとらしくごほんと咳払いをした。

「それにしても、王太子殿下は妃殿下のことを本当に愛されておられるようで」
「ごふっ」
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