愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
「私の失態です、第一騎士団の皆さんとアルドにも本当にご迷惑をおかけし……」
「謝罪されてはいけません」

 思わず頭を下げようとした私をサッと制止したベルモント卿は、変わらずに優しげな微笑みを浮かべる。

「私たちは殿下と妃殿下のご厚意で挽回するチャンスを与えて貰ったんですから」
「でもそれはッ!」
「それに第一騎士団はこの国の守りの要でありエリート集団なんですよ、その能力の高さを披露すれば自然と外部評価も挽回出来ます。その為の護衛騎士でもありますから」

 ね、殿下に愛されておられると言ったでしょう? と冗談っぽく付け加えられてぽかんとした私は、すぐに胸が熱くなった。

“確かに思ったよりもアルドに愛されているわね”

 彼は私の尻拭いをするために忙しい中策を練ってくれ、今回の提案をしてくれたのだ。
 そしてだからこそ彼の寝不足の原因を作ってしまったことに落ち込んでしまう。
 
 どうにかしてアルドの負担を軽減し、そして私のせいで外部からの評価を下げてしまった第一騎士団がちゃんと実力も兼ね備えた強い騎士団であることを証明出来れば――

 
「……選抜、大会……」
「妃殿下?」
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