愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
 私の口からふと溢れた言葉に怪訝な顔を向けるベルモント卿に、興奮しながら説明する。

「そうよ、選抜大会よ! 私の護衛騎士を決める選抜大会を開催するわ!」
「せ、選抜大会ですか……!?」
「城下町に大きな広場はないかしら? 誰でも見学可能にして注目を集め、第一騎士団の実力を間近で見せるの!」

“そうすれば私の護衛騎士を誰にするか悩むアルドの仕事も必要なくなるし”

 それに選抜大会を開催するのは二度目なのだ。
 前回の経験があるので上手く立ち回ることも出来るだろう。

「いける、いけるわ! 私は私の失態を必ずこの手で挽回します!」
「いえっ、何も、何もしなくて……っ」
「安心してください、ベルモント卿。第一騎士団の実力を皆に見せつけてやりましょう!!」
「あぁぁあ……」

“そうと決まったらアルドへ報告しに行かなくちゃ!”

 私は何故か青ざめるベルモント卿に、必ず名誉を挽回するという強い意思を込めて大きく頷いてから、大会開催の許可を貰いにアルドの執務室へと走り出したのだった。
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