愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
 加えて一番強い者という選定基準はわかりやすく、誰を選ぶべきかでこれ以上アルドを悩ませる必要もない。

 選抜大会をしたいと言った時の呆れたような絶望したようなアルドの表情は忘れられないが、思い切り吹き出しつつも「効率はいい」と後押ししてくれたダレアのお陰でなんとか許可が出た、というのが今回の流れだった。


「じゃ、私たちも選抜大会の準備をして行くわよ!」
「はい」


 ◇◇◇


「妃殿下!? その服は……というか、本日は来られないとお伺いしておりましたが」

 いざ城下町へと出発しようとしている第一騎士団へと合流すると、いつも訓練時に着ているような服装で現れた私の姿を見てベルモント卿が唖然とし片手で額を押さえた。

「ちょ、許可されてるんですよね!?」
「もちろんよ」
「いえ、殿下からは危険だから参加しないようにと通達があったと聞いておりますが」
「どっちなんですかお嬢様!? いえ、絶対ベルモント様が正しいですよね、お嬢様!」
「私の専属侍女なら主人の方を信じなさいよ!」
「一番信用できませんけど!?」
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