愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
 ミィナの辛辣な言葉に愕然とした私だったが、すぐに顔を左右に振って意識を戻す。

「確かにアルドからは、危険だから審査員として参加しないようにと言われたし約束もしたわ」

 そして先日の一件で反省した私は、ちゃんとアルドの言いつけを守り審査員としての参加を諦めた。

「だから、審査員ではなく選手として参加するわ」
「屁理屈ですよっ!」
「そんなことないわよ。アルドとの約束は守っているし、それに私は私より弱い騎士も、そして私を嘲ったり利用したい騎士もいらないわ」

 チラリと第一騎士団員を見る。
 彼らは貴族が多い。

 一緒に訓練をしてるお陰でだいぶ減ってはいるが、依然私を政治的観点から認められないと思っている人がまだ多いのも事実だった。

 ふと視線を感じた方へと顔を向けると、私と模擬戦をしたあの生意気な新人騎士と一瞬目が合い……そして思い切り逸らされ私から失笑が漏れる。

 
 私を人質姫だからと嘲るような人はわざわざ勝つ必要もないので勝手に手を抜き負けてくれるだろうが、後々の打算から万一勝ち残られては堪らない。
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