愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
 そういった危険因子をこの目で判断し叩き潰すという意味でも、自身の参加は有効だと思われた。


“あとはベルモント卿が許可してくれるかなんだけど”

 少し緊張しながら彼を見つめる。
 正直ここでベルモント卿が頷いてくれる可能性は限りなく低い。そう、思ったのだが。

「……はぁ。どうせ止まるような御方じゃありませんしね」

 大きなため息を吐いたベルモント卿が渋々頷いてくれ、私の心が急浮上する。
 まさかここでこんなにありがたい協力が得られるとは!

“そういえば、ベルモント卿は私が騎士と模擬戦をしたいと言い出した時も許可してくれていたし”

 アルドよりよっぽど理解のある彼に内心ウキウキし、アルドの心配性は私をそれだけ大事に想ってくれているからだと考え直す。
 どちらの理解者も私にとってはとてもありがたく、そしてそれと同時に何故ベルモント卿がこんなに協力的なのかと少しだけ首を傾げた。


「ほら、お嬢様行きますよ」
「き、切り替えが早いわね!?」

 いつの間にか選抜大会の会場へ向かう馬車に乗っていたミィナ声をかけられた私が驚く。
 
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