愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!

28.きっとこれがはじめての独占欲

「はじめっ!」
「やぁっ!」

 審判を務めることになった副団長の号令を合図に
 、事前にくじで決まった相手同士での打ち合いが四ヶ所で一斉に始まった。

“私の出番はまだ先ね”

 今回の選抜大会は負けたら終わりの勝ち抜き戦。
 
 第一騎士団からは団長、副団長を除く50名が全員出場し、平民からの飛び入り参加がなんと22名もいた。
 
 一組ずつ戦っていては時間がいくらあっても足りないので四組ずつの同時進行で初戦が行われている。
 
 もし私が参加するなんて言い出さなければ、団長も審判に回りもう少し多く同時に選抜戦を進められたのだろうが、万一の為の護衛としてベルモント卿が私にべったりなので、副団長一人に仕事が回り私は少し申し訳なく思った。


 ちなみにこれは余談だが、今回の選抜大会の開催理由に第一騎士団の実力を見せるという狙いがあるため騎士団員は全員参加である。

“名前を聞いたかすら忘れたけど、私に突っ掛かってきて返り討ちにあったあの生意気騎士も参加してるのよね”

 見下していた私に返り討ちされた彼の心情を考えると護衛にはなりたくないだろうが、命令なので出るしかないのだろう。
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