愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
 護衛になりたくない騎士はおそらく途中で手を抜くだろうが、手を抜いても勝ち上がってくる可能性だってある。
 だからこそそれを止める誰か、つまり私が必要なのだ。
 
「私が全員叩き斬ってやるわ」
「ほどほどにしてください」

 そんな私の決意が聞こえてしまったらしいベルモント卿が、少し呆れながらそう言った。

“でも、意外だったわね”

 ふと自身が引いた順番を決めるくじへと視線を落とした私はそう思う。
 私の初戦の対戦相手は第一騎士団員。

 そして勝ち上がったとして、次の対戦相手も騎士団員だしその次も騎士団員。
 私の引いたくじの割り当てだと、どれだけ勝ち上がっても優勝者を決める決勝戦まで騎士団員としか当たらないのだ。

“もちろん参加してる人数が騎士団員の方が多いのだから、絶対おかしいとまでは言わないけれど”

 だが他の予選グループには飛び入り参加の平民が混じっているのに、ここのチームには偶然混ざらなかった。
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