愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
 下手に街へ出掛けて脱走なんて思われたら堪らない。

 それら以外で私を知ってもらい味方を得るとすれば――

 
“やっぱり騎士の訓練よね?”
 
 自分の中でそう結論を出した私が大きく頷いてミィナを見る。

「騎士たちの訓練所が見たいわ!」
「訓練所、ですか? ですが少々危険では……」

 彼女が戸惑うのも無理はない。
 実際に武器を持って騎士たちが訓練をしているため、迂闊に近寄るのは危険だからだろう。

 また弾かれた剣などが飛んでくる可能性もある。
 普通の貴族令嬢であればあまり進んで行きたい場所ではない。
 
 
 だがジークと鍛錬を積み、実際に騎士たちに混じって訓練もしていた私なら話は別だ。

 それに人質とはいえ一応は妃である私が直接観に行けば喜ぶはず。
 あわよくば一緒に訓練し、汗水を流せば仲間意識も芽生えるかもしれない。

“リヒテンベルンではほとんどのメイドたちに無視されていたけど、騎士たちは挨拶してくれていたし。あと訓練着も持ってきてるし!”

「万一の時が私がミィナを守ってあげるから安心して」
< 23 / 340 >

この作品をシェア

pagetop