愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
「……、?」

“本当にどうしたのよ”

 それらすべてのことがわからず戸惑いながら乱れた夜着を直していると、体を起こしベッドに座り直したアルドが私をじっと見つめていることに気付く。
 その彼の視線がどこか怒っているような、それでいて不安気に揺れているような風に見えて私は息をを呑んだ。

「と、突然なんだったの」
「何、とは?」
「その……、アルドらしくないというか」
「はっ、子作りってのは俺たちの公務のひとつだろ」

 少し気まずさを覚えながらしどろもどろに聞くと、ふっと突然乾いた笑いをアルドが漏らし、そして更に続けられた言葉に唖然とする。

“それはその通りなんだけど”

 だが今までそんなことを言われたことがなかったため彼の発言に驚いた。

「別に抱かれたくないなら構わない、一度や二度の職務放棄で咎めたりしない」
「なっ!」
「じゃあ、おやすみ」
「お、おやすみじゃないわよ!」

 まるで煽るようにそんなことを口にし、ベッドから降りようとしたアルドの服を慌てて掴む。

「私は私の役目を放棄したりとかしないわよ!」
「別に無理して抱かれる必要はないぞ」
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